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1-2 許容電流計算式

絶縁電線に常時流し得る最大電流値を許容電流といいます。この値は電線連続使用時の上昇可能限界温度と,雰囲気温度及び配線環境によって求めることができます。

a)ジュンフロン®電線の許容電流計算方法
許容電流計算方法


b)電線ケーブルの許容電流の求め方
前記の計算式では,“Ρa = Ρbを満たす温度Τ[℃]”の近似値を求める必要があります。次項では代表的な電線の計算結果を示します(図1.2.1~図1.2.2)。図中で常気圧中とあるものは,周囲温度20℃の空気中において電線を水平に1本張り,気体の流動が全く無い場合(無風状態)での電流対温度上昇を示すものです。
①電線の使用雰囲気温度,導体または絶縁体連続最高使用温度あるいは,周囲にある他の部品の状況による温度上昇可能限界から,“導体上昇温度”(ΔΤ)を決定します。一般的には,電線ケーブルの定格温度を上限温度としています。

電線材料の連続最高使用温度

②①で求めた導体上昇温度ΔΤに対する,導体外径又は電線構造別の直線の交点から,電流値[A]を読み取ります。
③真空中の場合は常気圧中の値の約1/2~1/3となります。真空中の場合の計算例を図1.2.2に示します。高圧ガス中で使用する場合は図1.2.9,高々度で気圧の低いところで使用する場合は図1.2.10の補正係数を常気圧中の値に掛け合わせます。
④多本数を束ねたり,並列に配置して使用する場合は,束本数補正係数を掛け合わせます。
⑤高周波(400Hz以上)電流の場合は,図から求めた電流値に交流抵抗を考慮した補正係数ルート 1/Ksを掛け合わせます。
⑥銅合金線などの導電率が100%IACSでない導体の場合は,図から求めた電流値に導電率(%IACS)を考慮した補正係数ルート 導電率/100を掛け合わせます。


*許容電流値は*
  1. 導体断面積が大きくなると,大きくなります。
  2. 気圧が高くなると大きくなり,低くなれば小さくなります。真空中では常圧の約1/2~1/3となります。
  3. ジュンフロン®電線では,ΔΤを大きくできるので,許容電流は大きくなります。逆に同じ許容電流を希望する場合,ジュンフロン®電線では導体断面積を小さくできます。
  4. ΔΤが同じであれば,絶縁体の種類及び厚さにほとんど影響を受けません。絶縁体の厚みが多少違っても導体外径,または断面積から読み取った電流値が使用できます。


c) 許容電流計算結果
図1.2.1 ジュンフロン®機器配線用電線の常気圧中での許容電流



図1.2.2 ジュンフロン®機器配線用電線の真空中での許容電流



図1.2.3 ジュンフロン®機器配線用電線(撚線導体)の常気圧中での許容電流



図1.2.4 ジュンフロン®極細電線の許容電流



図1.2.5 MIL DTL 16878電線(単線導体)の常気圧中での許容電流



図1.2.6 MIL DTL 16878電線(撚線導体)の常気圧中での許容電流



図1.2.7 ロボットケーブル用電線(Aタイプ)常気圧中での許容電流



図1.2.8 ロボットケーブル用電線(Cタイプ)常気圧中での許容電流



図1.2.9 高圧ガス中での許容電流増加係数(潤工社実測による)



図1.2.10 空気中での高度による許容電流補正係数(SAE‐AS50881(旧MIL W 5088L)による)


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